最近、HR(Human Resources)支援事業への関心が高まっていることもあり、弊社がどのような経緯でこの事業を立ち上げたのかについてご質問をいただきました。そこで、弊社の平石代表にインタビューを行い、創業時の想いや現在に至るまでの背景、さらに今後の展望についても語ってもらいました。どのような想いで事業を始めたのか、そして、これからのHR支援に対するビジョンなど、さまざまなお話をお届けします。
1 私の知り合いや元同僚達の中には、実際に転職活動をする際に希望する職種がなかなか見つからず、苦労した人が多くいました。例えば、転職したいと思って、既存の転職会社等で調べても自分のやりたいことと求人情報がなかなかマッチせず、適した職種がない、見つからない、セキュリティ分野でキャリアを築きたいと考えていたものの、求人情報は漠然と「セキュリティ担当」とだけ記載されていて、具体的な仕事内容や求めるスキルが不明確で、応募に踏み切れなかったそうです。
こうした背景には、既存の転職会社が大量の求人を一括して扱っているため、個々人の細かな希望やキャリア志向に十分対応できていない場合が多いことが挙げられます。その結果、専門性の高い職種やニッチな分野の求人情報は埋もれてしまい、求職者が自分に合った職場を見つけづらいという問題が生じているのです。
私の元同僚達だけではないのでしょう、国家公務員からの転職組だけでなく民間の知り合いの方からもそのような話を聞きました。
それもそのはず、安全保障やインテリジェンス、セキュリティという言葉自体が、実際にその分野に携わったことのない多くの一般企業や人々にとっては、何を指しているのか分かりづらいものです。だからこそ、既存の転職会社などでは「セキュリティ」と一括りにされがちです。そのため、求職者も「自分が希望するセキュリティ分野の仕事なのかどうか分からない」「どのようなスキルや経験が求められているのか判断しづらい」といった戸惑いや誤解が生まれやすくなっています。こうした曖昧さが、専門領域に馴染みのない方々にとって、セキュリティ分野の転職をより難しく感じさせている要因の一つなのではないでしょうか。
多くの求職者は、でもしょうがないからと、適当にあわせて申し込んだけど、やっぱり違うなという感じがある、そういう声を周りから聞いていましたので、それなら、セキュリティ周りに特化した人材サービスを創ってみたら良いのではないかと思ったのです。これが創業した一つの動機です。
2 もう一つ、その決断を後押ししたのが、世の中の変化です、本当にだいぶ変わってきました。“セキュリティの爆発”だと言われる時代です。
セキュリティが国家安全保障だけの問題ではなくなってきたのが今の時代です。
安全確保の課題が、会社の組織形態や経済活動そのものや、個人の活動、スマホはじめIoTと言われる情報端末含めたシステムのあらゆる領域に拡大し、複雑に絡んできているのが今の時代です。サイバー攻撃、偽情報の拡散、闇バイトの問題等もそうです、日常生活の隅々にリスクや危険が入り込んできています。
私が専門としてきた「インテリジェンス」という言葉が、今や多くの人々に知られるようになり、しかも前向きでクールなものとして捉えられる時代がくるとは、本当に感慨深いです。最近では、企業の経営層もインテリジェンスの重要性を認識し始めており、例えば経営戦略の立案や地政学的リスク管理の場面でその知識や手法が求められるようになっています。また、サイバー攻撃の増加や情報漏洩のニュースが相次ぐ中、セキュリティ人材の需要が急速に高まっているのを強く実感しています。こうした社会の変化を受けて、セキュリティにまつわる考え方や専門知識がますます多様な領域で必要とされることを肌で感じ、これがもう一つの創業の大きなきっかけとなりました。自分が長年取り組んできた分野がこうして注目されるようになり、非常に嬉しく思っています。
3 そして、近年のトレンドを見ると、セキュリティ人材の育成や支援は重要な課題となる一方で、人材不足が指摘されています。そのため、官民問わず人材育成を支援する様々な団体が設立されています。
また、経済産業省など政府側からも経済安全保障への対応という観点から、経済インテリジェンスの人材育成強化などの施策が打ち出されています。
今までにないほど、人材側の支援について意識され議論されるようになり、手当され始めてきた印象があります。
そうしたら、今度は、経営側の要望、サイバーセキュリティや経済安全保障を確保していく上で、経営強化できる人材を採用するためにはどうしたら良いか知りたいとか、どういうセキュリティの職種を集めたら経営強化につながるのかなど、企業側のニーズが出てくるだろうし、企業側の採用支援が、これからはますます必要になってくるのではないかと考えたのです。
4 現在、欧米では、セキュリティ対策の透明性が一層強く求められるようになっています。例えば、欧米の先進的企業では年次セキュリティレポートを公開し、自社のサイバー攻撃対応状況や対策内容を積極的に開示することで、社会的信頼の獲得を図る動きが広がっています。こうしたサイバーインシデント開示義務化など、サイバーセキュリティ規制や義務化の流れを受けて、我が国でもセキュリティに関わる各種法規制や新たなルールが次々と導入され、企業として対応しなければならない責任やタスクが増加しています。特に、新たな規制導入により、企業は専門人材の確保や運用コストの増加、セキュリティ体制の見直しといった課題に直面しており、これらにどう対応するかが経営上の重要なテーマとなっています。
例えば、これまで日本では、サイバー攻撃への対応が主に事業者の自主的な判断に委ねられており、官民連携や情報共有の仕組みが十分に整備されていませんでした。そのため、サイバー攻撃の脅威が拡大する中で、より強固な対策を講じるための法改正等が強く求められていました。
そうした背景を踏まえ、今(2025)年に成立したいわゆる「能動的サイバー防御法」では、基幹インフラ事業者に対して、サイバー攻撃による被害や攻撃の兆候がある事象について報告を義務付けています。また、特定電子機器の製品名やネットワーク機器の構成などの届出も求められ、これらを怠った場合は最大200万円の罰金が科されることになりました。さらに、政府が把握したIPアドレスなどの機微情報(重要経済安保情報)を、事業者が政府から取得できるようになりました。
このような情報共有が可能になったのは、今(2025)年5月に施行された「重要経済安全保障情報保護活用法」により、セキュリティ・クリアランス制度(政府が定めた基準を満たした人だけが機密情報にアクセスできる制度)が導入されたことが大きな要因です。これによって、日本ではこれまで弱かった官民連携の基盤が整備され、セキュリティ体制の強化が期待されています。
新制度の導入により、事業者側では運用体制の強化や、政府との情報共有の仕組みづくりがますます重要になります。一方で、専門人材の育成や、迅速かつ安全な情報管理の体制構築など、今後の課題も多く残されています。今後は、制度の適切な運用と、官民が連携したセキュリティ対策のさらなる充実が期待されます。
5 このように、かつてでは考えられなかったようなセキュリティ周りでやることが多くなってきました。今やセキュリティ分野はかつてないほど多様化・高度化しており、企業活動の根幹を支える重要な役割を担っています。最近は、日本の大手企業もセキュリティ専門部署の設置や、CISO(Chief Information Security Officer)を新設する動きが広がっています。そうしますと、セキュリティ周りをしっかりと運用していける、やはり専門人材がどうしても必要になってきます。
このような社会的背景を踏まえ、私たちオリガミツキは、単なる人材紹介にとどまらず、業界初の「セキュリティ特化型マッチングサービス」を展開しています。独自のネットワークを活用し、最新のセキュリティ動向や企業のニーズをリアルタイムで把握し、最適な人材とのマッチングを実現しています。さらに、セキュリティ業界の第一線で活躍する専門家によるキャリア相談や、企業向けの採用コンサルティングも提供しており、他社にはない総合的な支援体制を強みとしています。
安全保障、インテリジェンス、セキュリティ分野に興味のある学生や求職者の皆さま、そして専門人材の採用を検討する企業担当者の皆さま、オリガミツキは皆さまの課題解決と成長を全力でサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。